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響想曲



新年早々エロくてスミマセンなSS

熱い湯煙が立ち上って、うっすらと室内に霧がかかっている。
少し動くたびに、湯船に敷き詰められた白い泡が湯と一緒に揺れ動く。
大きな泡が割れて、ほのかにラベンダーの香りがした。




あなたと一緒に




「で、なんでのだめは先輩と一緒にお風呂に入ってるんデスか!?」
バスタブの反対側でくつろぐ彼に、のだめは背を向けながらわめく。
対する千秋は、してやったりといった顔で彼女の背中にちまちまと湯をかけた。
「なに照れてんだよ。お互いの裸なんて今さら…」
「むきゃー!なに言ってるんでスか!」
つい振り返ってしまい、慌てて視線を逸らすのだめの耳は赤く染まっていた。


事の発端は、のだめが風呂を嫌がるので千秋が無理矢理入れたのが始まりだが、それでも一緒に入ると言うのは初めての経験で。
そういうことに免疫がないのだめは彼を直視できなくて、浴槽の隅で縮こまっているのだった。


頑なに振り向こうとしないのだめに、千秋は泡の湯で波を作って送る。
「いい加減あきらめろよ。お前泡風呂好きだろ?」
そう言って、後ろ向きのままののだめを引き寄せる。
「な、なんで知ってるんですか!?」
それでも抵抗しようとするのだめを、千秋は力ずくで抱きしめて身動きが取れないようにした。
「昨日、お前の親御さんから風呂セットと手紙が届いたんだよ」
「……」
のだめには、その手紙の内容が一字一句想像できるようであった。

『千秋君へ
 これでお風呂嫌いの恵をお風呂に入れてあげてね。
 P.S.恵は泡風呂が好きなのよ。頑張ってねv』

いろんな意味を込めて、のだめは「さすがヨーコ…」と呟いた。


のだめが抵抗しなくなったのを見計らって、千秋はのだめの動きを妨げていた腕を外して、彼女の髪をシャンプーし始めた。
「…えっちな事はしないで下さいね?」
のだめは念を押すように言いながら、シャワーホースを手繰り寄せる。
「努力はするけど?」
そう言って、千秋は笑う。
その笑い声につられて、のだめもリラックスして鼻歌を歌い始めた。

そうしているうちにシャンプーも終わり、泡を流そうとして千秋は蛇口をひねった。
シャワーホースをのだめが持っていることにも気付かずに。

「ぎゃぼ…!」
「…………おい」

蛇口を閉めたときには、すでに遅く。
のだめがシャワーヘッドではなくホースを持っていたので、放水される方向が定まるはずもなく、乱射という悲惨な状態を生んでしまったのだった。
湯を真正面からかぶった千秋は、形の良い眉をしかめて、のだめの顔を両手で挟んで無理矢理振り向かせる。
「…そういうことするわけ」
怒鳴るかと思ったのに意外と落ち着いた千秋の不審な反応に、のだめは嫌な予感を感じ取ったが、行動を起こそうとする前に千秋が動いた。
のだめの顔に携えた手を徐々に下へ這わしていく。撫でるように、押しつけるように。
首筋、肩、鎖骨、そして胸まで降りてきた。
「あ……っ」
無意識に出た声に、のだめは慌てて口を押さえるが、千秋の手はとまる様子を見せない。
「ず…ずるいデス…」
そう言いながらも、のだめは脳に直接伝わってくる快感の波に溺れて、抵抗することも出来なかった。
そのまま事が進むかと思われた、が。


「ま、待って下サイ!先輩、動かないで!」
のだめが突然千秋の手を掴んで、叫んだ。
何事かと思って、千秋も動きを止める。
ぽつん、ぽつんと先程飛び散った水が天井から落ちてくる音だけが響いた。

「ほら千秋先輩、水滴のメロディーです」

その言葉で、千秋はようやくのだめの行動の意図が分かった。
水滴が湯船に落ちて聞こえる音は、確かにメロディーに聞こえなくもない。
ぽつん、ぽつんと不規則に鳴る水滴のメロディー。


のだめが口笛を吹き始めた。
『いい湯だな』という渋い選曲に苦笑しながらも、千秋は目をつぶって聞き入る。
口笛はバスルーム中をこだまし、水滴の落ちる音とハーモニーを奏で続けた。





その後、のぼせあがったのだめがどうなったかは、千秋の理性のみぞ知る。



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新年明けて最初のSSがこのなので本当、申し訳ないです。
でもこれが私の本性なんで、勘弁してください(笑
by touch_me_not | 2005-01-05 03:56 | のだめSS
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宮崎楓(みやざきかえで)による、のだめカンタービレを主に駄文を書き連ねる日記サイト。SSも書きます。コメント大歓迎!

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