響想曲



2004年 12月 29日 ( 1 )


ネタバレ注意。妄想注意。爆走注意。危険物取締法違反SS。

突然の出来事に、頭の中が真っ白になって。
只々呆然とするしか出来なかった。

それでも確かに力強い腕の締め付けは感じ、
自分のものとは違う少し熱い体温は伝わってきた。

昨年の、自分の実家近くの河川敷のことをぼんやりと思い出す。
あの時と同じ。
いや、違う。
うっかり、なんていい訳はできないほど
強く、強く抱きしめられているのだから。





Lesson66妄想バージョン~ゴール後、空白時間の推測~





周囲にいる関係者の人達から口笛やヤジが飛んでくると、千秋はのだめを解放し、何事もなかったように楽屋へ戻っていった。
「キミ、チアキの彼女?」
近くにいた中年の男性が、のだめに興味津々で聞いてくる。
「…いえ」
それに対して、のだめはぼんやりと答える。妻デス、などと言う余裕は心身ともになかった。


なんだったのだろう。
頭の中でその言葉がぐるんぐるんと回っている。
答えの出ない問いに混乱して、いったん気持ちを落ち着けようと元来た道を辿ろうとした。

――こんままでよかと?

その時、わずかに残っている、冷静な自分が語りかけてきた。
指摘どおり、このままだとまたいつも通りなかった事になってしまうのは火を見るより明らかだった。

のだめは1回深呼吸をして、心を決めた。
不安は尽きないけれど、チャンスを逃すなんてことは出来なかった。

のだめは楽屋へ駆けた。



コンコン

「のだめデス」
なるべくいつものように声をかけてみる。
「…どーぞ」
少しの沈黙をおいて許可が返ってきたので、ドアを少し開け、その隙間から身を滑り込ませてまた閉めた。

千秋は喉もとを緩めながらミネラルウォーターを飲んでいた。背を向けているので、その表情はわからない。
その様子を見ながら、のだめは意を決して口を開いた。

「…先輩、さっきのはどういう意味デスか?」
相変わらずの直球に、千秋はミネラルウォーターでむせかけ、慌ててタオルを口に当てて咳き込む。
少し経って落ち着くと、顔だけをのだめの方へ向けた。呆れたような顔をする。
そのまま何も言わずにペットボトルを机に置き、部屋の隅に歩き始める。
「ちょっ…、先輩!」
慌ててのだめは付いていく。
せっかくの決心、ここで諦める訳にはいかないと心に決めて。


「俺はな…、今までまともな人生歩いてきたんだよ」
ふと千秋が話し始めた。
のだめは彼の意図がわからず、とりあえずはその話に耳を傾けるのに努める。
「真面目に音楽やってきたし、普通に暮らしてきたし、変態女に付きまとわれる事はなかったし」
そこで少し言を置く。
「付き合った女も、まともなのばかりだったかな」
千秋がのだめの方に振り返る。
「…なのに、どうしてこんなヤツなんだろうな。俺の人生めちゃくちゃにしやがって」

いつものような呆れた声色ではなく、その瞳はしっかりとのだめを捕えていて。
それきり千秋は口を閉じてしまった。


のだめはそのまま彼を見つめていると、ふと彼の様子の変化に、そして言葉の意味に気付いてしまった。
ふいに頬に朱を散らせて。
「…それ、のだめの事が好きだって言ってるみたいに聞こえますよ」
目を逸らして、そう呟く。
思わぬのだめのうぶな反応に、千秋もぶっきらぼうにそっぽを向いた。
「そう聞こえるんなら、そうなんじゃない?」
その返答に、沈黙が訪れる。



ゆっくりと、のだめが口を開いた。
「…パ、パリにもエイプリルフールってあるんですか?」
その台詞に千秋は脱力した。思わず苦笑する。

「そんなに信用ならないなら…」
そして、のだめの方に歩み寄りながら千秋は意地の悪い笑みを浮かべた。
その様子を見て、無意識にのだめは後ずさるが、すぐにソファーに阻まれる。
すぐに千秋はのだめの背にあるそのソファーの背もたれと腕置きに手を回し、のだめを囲った。
「証明してやろうか」
そう言った千秋の顔は、吐息がかかるほど目の前にあって。
どうやって、と聞こうとした言葉ごと彼の唇に捕えられてしまった。

優しく、触れるだけのキス。

いったん離れて、一瞬にしてパニくってしまったのだめは、背中を反らせて肩を押し返してなんとか千秋から逃げようとする。
「ちょ…、せ、先輩!?な、何を…!」
「何をって…。もう1回、なんだろ?」
そう言ってのだめの両手を掴んだ千秋の意地悪な微笑みは、さきほどいた舞台の上の期待の新人指揮者を微塵にも想像させなくて。
何故だか懐かしさを感じるその笑顔に、頬が緩むのを抑える事が出来なかった。
うっかり噴き出してしまったのだめは、千秋に頬をつねられ、そのままもう1度近づいてくる彼の顔に、今度は素直に目を閉じた。

再び唇が触れ合う。
さっきよりも長く、深く。


探るようなものから徐々に熱くなっていく彼の口づけに、のだめの身体はどんどん火照らされてゆく。
全身に力が入らなくなり、遂にソファー伝いにずり落ちていってしまうのだめに合わせて、唇を合わせたままの千秋も体勢を低くしていき、膝をついた。
しかしのだめが床に座り込んだ後も、千秋の体勢は落ちてゆく。

熱い唇が、細い首筋を這って。
左の鎖骨に優しいキスが降ってきた。

のだめは最初その行動に戸惑いを覚えたが、やがてぼんやりとした感覚に頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなった。



記憶が無くなる前、ノックの音を聞いた気がした。

-------------------------
ぎゃあ。
例の空白の移動時間の妄想SSです。
有り得な、い、よ。
妙に長ったらしいし、中途半端だし、いつも以上に文章変だし。
しかも冷静なのだめはなんで大川弁なんだろう…私。

このSSはアップしようかかなり悩んだんですが、他サイト様で似たような(lesson66妄想)SSを載せてる所も何箇所かあったので、いいかなーと(適当人間
書き直す気力はなかったです。ていうか、読み返す勇気がありません。ぶるぶる。

今年最後のチアノダSSでした。
皆様、本当にお疲れ様でした(自爆
[PR]
by touch_me_not | 2004-12-29 05:23 | のだめSS

宮崎楓(みやざきかえで)による、のだめカンタービレを主に駄文を書き連ねる日記サイト。SSも書きます。コメント大歓迎!
カテゴリ
以前の記事
+リンク+

のだめ千秋後援会

mano sinistra
たつとり
lovers concert
the Mirage in the Twilight
チアノダラバー未成年連合

smell days
ORANGE GATE


ぱるらんて♪
Musica piu piacevole!
Dotted♪note.

「響想曲」はリンクフリーです!報告下さいましたら、小躍りしながら遊びに行かせてもらいます(迷惑)!
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧